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イントゥ・ザ・ワイルド 見た 感想 (【注】ネタバレ有り)

少年期から青年期へ向かう自立の時、
多くの人は親への反発や自分の生き方に悩みます。


そんなとき、内省的な人、そのなかでも男性は、ひとり旅に向かうことが多いのではないでしょうか? 旅という未知なる世界の刺激をひとりで味わうことは、自分の内なるものを見つめる機会となります。


そんな話かと思いながらイントゥ・ザ・ワイルドを見たのですが、いい意味で期待を裏切られました。これは、「青年期の自我の確立」という話に加え、いやそれ以上に「家族」のありようを考えさせる作品です。


イントゥ・ザ・ワイルド
(画像は goo映画 より拝借)

旅の途中でクリスは様々な人に出会います。なかでも中心となるのが、家族としての喪失感を抱えている人達。出て行った子供と何年も連絡が取れないヒッピー夫婦や、妻と娘を事故で亡くした老人など。彼らとの触れ合いの中で主人公クリスが成長するとともに、クリスは彼らの家族としての喪失感を埋める役割を自然と果たしていきます。


それは、クリスだからこそできたのだ。クリスが背負っている出生の秘密から、彼自身が家族に対する喪失感を持っているからこそ、逆に他人の家族の喪失感を埋めることができるのでしょう。


そして、クリスの家族(両親)にも変化が訪れます。嘘で外面を塗り固めていた両親(特に父親)は、クリスの失踪から愛情や温かさを取り戻します。クリスがこれから旅の最後の経験へと進んで行こうとする頃、ある意味クリスが望んでいたであろう両親の関係が生まれていたのです。ここで少し悲しさを感じました・・・理解し合えそうなのにすれ違いはまだ続くのかと。


クリスは、最後の経験(旅の目的)と考えていた「自然の中でひとりで生き抜く」サバイバル生活を成し遂げる。正直その途中で亡くなるんだと思っていたんで、どうなるんだろうと思っていたら、その帰りに彼の予想しなかった事態が待ち受けていた。そして逆に孤独と恐怖を知ることになっていきます。


彼が死の間際、書き残した言葉
「幸福が現実のものとなる時、
それは、誰かと分かち合ったときだ」


この思いは、サバイバル生活を終えて帰る時には持っていたものなのか、そうではなく、孤独と恐怖という極限の中で真実として認識できたのか・・・映画ではどちらとは明確な描かれ方はしていませんでした。それがいいんですけどね。


前 者であるならば、クリスを家族のもとに戻してあげたかったという悲しさが残り、後者であるならば、死と引き換えに手に入れた真実ということで、これもまた 非常に悲しい気持ちが残る。いずれにしても観た後はなんともいいようのない悲しさ(重苦しさや後味の悪さは無いんだけど)が残る映画でした。でも美しくい い映画だと思いました。


ストーリー的には文明批判、自然回帰というパターンですが、それは表層で、その奥底で「家族とは」を問いかける映画になっています。ぜひ多くの人に見てもらいたいですね。

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